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「はじめて学ぶ物理学」が高校物理を学ぶのに最適な理由

どのような勉強でも、最初はまず教科書から勉強することが近道です。

教科書の内容があやふやなままに問題集や難しい参考書に手を出しても、足元の理解がおぼつかないために伸び悩んでしまいます。最初は、必ず網羅的な教科書から取り組むことが成績向上のための最短の道です。

ただし、残念なことに物理の検定教科書(学校で配られる教科書)は受験勉強としては全く役に立たないほどの低クオリティで、多くの高校生がどのように高校物理を勉強すればよいのか困ってしまう事態が続いていました。

しかし近頃、高校物理の教科書の決定版とも言える良書が発売されたので、ご紹介したいと思います。物理を勉強する全国の高校生は、これで勉強しておけば絶対に間違いないと言える一冊です。

高校物理の教科書の決定版がついに出た

今日、数え切れないほど多くの参考書や問題集が出版され書店にも並んでいますが、長らく高校物理の教科書としておすすめ出来るものがありませんでした。

なぜなら、市販の物理の参考書のほとんどが

  • 数学ではなく、曖昧な雰囲気だけで解説しようとしている
  • 東大や医学部などの最難関まで対応できていない
  • 例題が面白くない、本質的でない

などの多くの問題点を抱えていたためです。そのため、私を始めとした多くの予備校講師などは、自分でテキストやプリントを書いたりしていました。長年、高校物理の教科書として優れたものを求めていたのです。

しかし、2019年、ついに高校物理の教科書としての決定版と納得できる名作が出版されました。それが、吉田弘幸氏執筆の

はじめて学ぶ物理学 学問としての高校物理

です。

「はじめて学ぶ物理学」のメリット

「はじめて学ぶ物理学」には、他の参考書にはない優れた点が多くあります。

[box05 title="メリット"]

  • 物理学という学問を妥協なく解説している
  • ベクトルや微積分を惜しみなく用いている
  • 解説の文章が厳密かつ高度で、読解力や論理の勉強になる
  • 本質的でシンプルな例題で実践的な実力がつく

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本書の優れているポイントは、高校物理を正面から捉えて厳密に解説している点です。ハイレベルかつ本物の教科書であることは間違いがありません。

次のような人におすすめです。

[box05 title="次の人におすすめ"]

  • 東大や医学部などの最難関大学を目指す受験生
  • 物理学を学び直したい大学生や大人

[/box05]

特に、東大などの理系最難関の大学を志望する生徒にとって、本書は受験の最後まで使えるバイブルとなります。また、実際に東大に受験しに来る受験生は本書の内容程度はしっかりと勉強してきます。そのため、身近にここまで高度な物理の授業をしてくれる講師がいない場合には本書を手元に置き、自ら勉強しなければ東大に合格することは難しいでしょう。もしくは、本書を教えてくれる講師を探すことが効率的です。

デメリット

メリットが多い一方で、次のようなデメリットもあります。

[box05 title="デメリット"]

  • 解説が緻密で難解なので、教えてくれる指導者が必要
  • 早慶未満の志望者には不要
  • 問題数は少ないので、他の問題集が必要

[/box05]

まず、著者の日本語は極めて厳密かつ高度です。これをしっかりと読みこなすことで、物理だけでなく国語の実力も付きます。

しかし、難解であるために独学はかなり厳しいと思われます。そのため、本書を用いて授業をしてくれる指導者が必要です。ちなみに、私の塾では本書を用いて物理の授業をしているので、興味のある方はご連絡ください。

また、本書は問題集ではなく教科書なので、問題数は多くはありません。そのため、入試本番前には過去問や実戦問題集などを追加で解く必要はあります。

ただし、勉強で必要なのは闇雲に問題数を増やすことではなく、少ない問題数で徹底的に本質を理解することで応用力を付けることです。本書に掲載されている問題数は少ないですが、すべての問題が物理学の本質を理解するのに最適な例題となっており、問題自体は最高品質になっています。そのため、本書の例題を徹底的に理解した後に、過去問や問題集で実践練習を積むことをおすすめします。

また、本書は東大などの最難関大学を目指す高校生には最適ですが、早慶未満の志望校の生徒には難解すぎて不向きかもしれません。早慶未満を志望する場合は、数学や英語に難点がある場合が多いので、そちらの主要科目を頑張りましょう。

著者の吉田弘幸氏について

吉田弘幸氏(以下吉田氏)は、理系に強いとされるSEGで物理の講師を務める現役予備校講師です。また、以前は駿台予備学校で数学講師も務めており、物理・数学において実力は疑う余地がありません。

吉田氏は教育問題についても熱心に活動されており、2018年には大阪大学と京都大学の大学入試において、入試の出題ミスを指摘するなどで話題になりました。また、現在は新しく予定されている新共通テストなどを踏まえた「入試改革を考える予備校講師の会」の代表を務められるなど、精力的に活動されています。今後目が話せない予備校講師のお一人だと思います。自身のTwitternoteなどでも活動されているので、興味のある方はぜひご確認ください。特に、noteは物理に関する有用な情報が多く載っているので、必見です。

「はじめて学ぶ物理学」は、吉田氏のSEGでの講義録として作成されたようです。実際に、内容は納得の充実度になっています。SEGに通えない人も、本書を使えばSEGでの授業に負けない勉強が出来るとは、よい時代になりました。

構成

「はじめて学ぶ物理学」は、物理学という学問を重視した独特の構成になっており、これがまた秀逸です。

2冊の上下巻に分かれており、上巻は

  1. 力学
  2. 熱学
  3. 弾性波動

の3部構成になっており、下巻は

  1. 電磁気学
  2. 光波
  3. ミクロな世界の物理

の3部構成で、合計6部構成になっています。

この順番は、物理学として最も理に適った構成になっています。本来、物理学というのは上述の順番に学ぶことで分野間の繋がりが明らかになり、学習効率が上がります。章立ての細部にまで配慮された構成であることが伝わってきます。

ここからは、各部について細かく説明します。

力学

力学は、古典物理学の基本となる最も重要な分野です。力学を制するものが物理を制すると言っても過言ではありません。

力学では、運動方程式やエネルギーといった根本的な概念について学びます。これは今後どの分野を学ぶ上でも登場する重要な概念です。

しかし、市販の一般的な教科書や参考書は、運動方程式が微分方程式であることも説明せず、エネルギーもぼんやりとした漠然とした説明に終始し、何が言いたいのか全くわかりません。物理学は、ぼんやりとした妄想パズルではなく、自然を数理的な手法を用いて明らかにしていくサイエンスです。つまり、物理は数学的に理解することが最も重要です。

本書では、説明に数理的な手法を惜しみなく使います。これが本来の物理学です。運動方程式は微分方程式として理解するべきであるし、エネルギーは運動方程式をエネルギー積分した結果として捉えるべきです。この点、本書の内容に一切の妥協はなく、最も安心して学習を進めることが出来るでしょう。

また、本書の上巻の最初には「物理とは何か?」ということが学べる序章がついています。この章もまた秀逸で、これからサイエンスとして物理を学んでいくということがクリアになる説明が述べられています。何のために物理を学ぶのか?という目的意識をはっきりさせる上でも必見です。

多くの高校生が、物理を色々な公式を覚えて当てはめていくクイズのようなものだと勘違いしています。それでは、物理を学ぶことが楽しいと思えるはずがありません。物理学は、自然を解き明かしていく豊かで知的な営みです。これを楽しまない手はありません。

「はじめて学ぶ物理学」で物理学の思想と理念に触れれば、きっと物理が楽しくなるはずです。

熱学

力学の次に熱学が来るのが本書の優れたポイントのひとつです。高校物理では「熱力学」と書くことが多いですが、本来は熱学です。物体をマクロ的視点から見るのが力学であれば、それをミクロの世界にまで踏み込んでいくのが熱学です。

ちなみに、熱力学というのは熱学と力学の問題を組み合わせているだけであって、分野の名前ではありません。熱学をそのまま大学入試の問題として出題することは出来ない(難しすぎる)ので、力学と関連させることで入試問題として成立するようにしているのです。しかし、本来学ぶべきは「熱とは何か?」という根源的な疑問に立ち向かう熱学です。

また、力学の次に熱学を学ぶことで、マクロとミクロの視点の切り替えの練習にもなります。熱は目に見えない抽象的な概念ですが、数理的に追求していくことでその実態の輪郭が見えるようになっていくでしょう。

もちろん、熱学と力学を組み合わせた熱力学についても丁寧に解説されています。特に、最後の熱機関の説明は明快で、入試にも頻出の単元ですから非常に有用です。

熱学は、大学に入った後はさらに難解な分野になっていくのですが、大学入試としては本書の内容が抑えられていれば十分すぎるというものです。

弾性波動

高校数学では「波動」として扱われています。波とは、連続したばねの運動として考えることが出来ます。つまり、力学の延長です。やはり波動も力学の続きとして理解することが効果的です。

波動は、他にも「光波」とも密接に関連してくるのですが、これは下巻で扱われています。上巻では、音波などの力学的な波について扱います。

電磁気学

電磁気学とは、その名の通り「電気」と「磁気」について学ぶ分野です。電磁気学は、力学と並んで高校物理のメインテーマです。入試でも、力学と電磁気学はまず間違いなく出題されます。それだけに、最も根本的な理解が求められる分野でもあります。

電磁気学は、マクスウェル方程式に基づいて理解しなければなりません。そのために、

  • ガウスの法則
  • アンペールの法則
  • ファラデーの法則

の3つが高校物理では重要です。

本書ではマクスウェル方程式を高校生でも理解できる形に落とし込みながら、数理的に理論立てて電磁気学を解説しています。高校生に向けてここまで電磁気学をわかりやすく解説してくれている参考書は現在他にはありません。

マクスウェル方程式というと難しく感じるかもしれませんが、高校物理の間は電場が時間変化しないのでより簡単な形で理解するだけで十分です。これを私は「簡易版マクスウェル方程式」と呼んでいます。

マクスウェル方程式を理解せずして電磁気学を理解することは出来ません。しかし、市販の多くの参考書は、マクスウェル方程式を扱わずに電磁気学を説明しようとするので、めちゃくちゃな説明になってしまい全く物理学を理解するための内容ではないのが現状です。

東大などの理系最難関に合格するには、「はじめて学ぶ物理学」で本物の電磁気学に触れ、真の実力をつける必要があります。

光波

高校物理では、光についても学びます。ただし、高校物理の間はあくまで光の道筋や干渉を幾何的に扱うだけに留めます。本当は、光はこの後の相対論などにも関わるなど奥が深い分野なのですが、あまりに奥が深すぎてとても高校物理では扱えません。興味のある人は、ぜひ大学で物理学の続きを学んでください。

しかし、なんと本書は意欲的な高校生の要望にも応えられるように、この後に「ミクロな世界の物理」として相対論についても解説してくれています。この充実度は驚くべきことです。

ミクロな世界の物理

この分野は、高校物理では原子として扱います。原子の分野は、高校物理の間は原理的に理解するには高度な数学の知識を必要とするため、高校生の間は結果として覚えざるを得ません。

しかし、本書は出来得る限り厳密に解説しようとする意欲が感じられます。今後、大学で物理学を学んでいくモチベーションにもなるような高度な内容が取り上げられているので、興味のある人はぜひ呼んでみるとよいでしょう。

もちろん、原子分野は大学入試でも最近出題されるようになってきているので、全員必ず学習しなければいけません。

「はじめて学ぶ物理学」は高校物理を学ぶのに最適な教科書

まとめると、本書は高校物理を学ぶ高校生に最もおすすめできる教科書です。物理科目が入試で必要な高校生は必ず購入し、これで物理学の勉強に邁進しましょう

ただし、勉強するときにはテキストの解説や答案を見てくれる指導者を見つける必要があるでしょう。独学で進めようとすると挫折してしまう可能性があるので、気をつけてください。上手に使うことで、確かな実力が得られることを保証します。

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岡田

ラディカル高校数学管理人の岡田です。地方公立高校から一浪して東京大学理科一類に合格。現在工学部在学中。都内で塾講師として高校数学を教え、100人以上の生徒を見てきました。自分の経験を活かして高校数学をわかりやすく教える活動をしています!

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