不定積分 数学III 積分法

置換積分を置換せずに高速に計算する方法と例題

置換積分には2種類の型があり、型によって置換の方法が違います。置換積分の2種類の型については、次の記事をお読み下さい。

g(x)=u型の置換積分は、基本的には置換しなくても計算することが出来ます

また、置換しないことで計算を大幅に高速化することが出来ます。さらに、計算がごちゃごちゃしないので計算ミスも減らすことが出来ます。試験でとても活躍する方法です。

今回は、置換しない置換積分として練習問題をやってみます。

特殊基本関数がg(x)=u型の基本

g(x)=u型の置換積分をするときには、\displaystyle\int f(g(x))g'(x)\,dxの形になっていることを必ず確認します。この形でないときにはg(x)=u型の置換積分はそもそも出来ないので注意して下さい。

この形になっている代表例が、特殊基本関数と呼ばれる

  • \displaystyle\int \frac{f'(x)}{f(x)}\,dx=\log |f(x)|+C
  • \displaystyle\int \{f(x)\}^\alpha f'(x)\,dx=\frac{1}{\alpha+1}\{f(x)\}^{\alpha+1}+C

の2種類です。

1つ目は、分数になっていて分母を微分したものが分子に来ているパターンです。このパターンは非常によく見かけます。分数の積分を見たら、まずはこれを疑って下さい

2つ目は、合成関数の後ろに中身を微分したものがくっついているパターンです。特に、\alpha\dfrac12などになっていて、ルートの形をしているパターンが頻出です。

それでは早速練習してみましょう。

問題

次の不定積分を求めよ。

(1) \displaystyle\int x\sqrt{x^2+1}\,dx (2) \displaystyle\int\cos^2\sin x\,dx (3) \displaystyle\int\frac{\log x}{x}\,dx

積分に限らず、数式の基本はカタマリを見つけることです。どこかのカタマリを微分することで、外についている部分にならないかを探して下さい。

解答

\begin{aligned} \displaystyle (1) \int x\sqrt{x^2+1}\,dx&=\frac12\int (x^2+1)^{\prime}\sqrt{x^2+1}\,dx\\ &= \frac12\cdot\frac23(x^2+1)^\frac32+C\\ &= \frac13(x^2+1)^\frac32+C \end{aligned} \begin{aligned} \displaystyle (2) \int \cos^2\sin x\,dx&=-\int \cos^2x(\cos x)^\prime\,dx\\ &= -\frac13(\cos x)^3+C \end{aligned} \begin{aligned} \displaystyle (3) \int\frac{\log x}{x}\,dx&=\int \log x(\log x)^\prime\,dx\\ &= \frac12(\log x)^2+C \end{aligned}

解説

(1)は、ルートの中身のx^2+1を微分した2xがルートの外側にxとして存在することに気づきます。このとき、xではなく2xですが、定数倍はその逆数を掛ければ解消できるので、問題ありません。重要なのは、ルートの中身を微分した次数と外に付いている次数が一致することです。

ここで、\displaystyle\dfrac12\int (x^2+1)^{\prime}\sqrt{x^2+1}\,dx\displaystyle\int f(g(x))g'(x)\,dxの形になっているので、置換積分が使えます。普通はg(x)=x^2+1と置換するのですが、不要です。

この程度は、置換せずにそのまま

\displaystyle\int (x^2+1)^{\prime}\sqrt{x^2+1}\,dx =\frac23(x^2+1)^\frac32+C

の計算をさっさと実行してしまいます。実際に、右辺の\frac23(x^2+1)^\frac32を微分してみると

\left\{\frac23(x^2+1)^\frac32\right\}^\prime = \sqrt{x^2+1}(x^2+1)^{\prime}

となり、被積分関数に戻ります。よって、正しく積分できています。後ろの(x^2+1)^{\prime}は、合成関数の微分のときに後ろについてくるものとして出現します。

このように、わざわざ置換しなくても、そのまま置換積分は実行できます。結局、g(x)=u型の置換積分は合成関数の微分の逆を辿っているだけなので、数式のカタマリがしっかり見えていれば置換は無駄なステップだということです。

この方法で積分計算は大きく高速化出来ますので、ぜひ習得して下さい。コツは

  • 数式のどこかのカタマリの微分がどこかに現れないか
  • g(x)=u型は合成関数の微分の逆と意識する

の2点です。誰でも必ず出来るようになります。

(2)(3)もまったく同様です。\displaystyle \int\frac{\log x}{x}\,dxは分数の積分ですが、\log xの微分が\dfrac1xであることに気づけたでしょうか。

それでは、次に\displaystyle \int\frac{g'(x)}{g(x)}\,dxのタイプも練習してみましょう。

問題

次の不定積分を求めよ。

(1) \displaystyle\int \tan x\,dx (2) \displaystyle\int\frac{2x+1}{x^2+x-1}\,dx (3) \displaystyle\int\frac{e^x}{e^x+1}\,dx

数式をカタマリとして見抜く練習をして下さい。この見抜く力は数学でとても重要です。

解答

\begin{aligned} \displaystyle (1) \int \tan x\,dx&=\int \frac{\sin x}{\cos x}\,dx\\ &= -\int\frac{(\cos x)^\prime}{\cos x}\\ &= -\log|\cos x|+C \end{aligned} \begin{aligned} \displaystyle (2) \int\frac{2x+1}{x^2+x-1}\,dx&=\int\frac{(x^2+x-1)^\prime}{x^2+x-1}\,dx\\ &= \log|x^2+x-1|+C \end{aligned} \begin{aligned} \displaystyle (3) \int\frac{e^x}{e^x+1}\,dx&=\int\frac{(e^x+1)^\prime}{e^x+1}\,dx\\ &= \log(e^x+1)+C \end{aligned}

解説

いずれも分母を微分すると分子になっています。マイナスの符号や定数倍は、係数をつけることでいくらでも調整できるので、心配する必要はありません。

どうしてこのように変形できるのか納得できない人は、積分して得られた関数を微分して被積分関数になるかどうかを実際に自分の手で確かめて下さい。いずれも、合成関数の微分により正しいことが分かると思います。

積分は、得られた結果を微分した結果が被積分関数になっているかどうかで合っているかどうかを必ず判断することが出来ます。計算が怪しいときや、よくわからなくなったときは、微分して元に戻ることで検算するクセをつけてください。

ちなみに、(3)の最後は、最初は\log|e^x+1|と書くところを\log(e^x+1)にしています。これは任意の実数でe^x+1>0であるため、絶対値が外れるからです。外れるときは、外したほうがよいでしょう。

まとめ

数式のカタマリから合成関数の微分の逆であることを見抜くことで、不要な置換をスキップし、計算を大幅に高速化することが出来ます。実際に、上の解答はすべて数行で終わっています。しかも、置換してごちゃごちゃやるよりも間違える確率が大きく下がるのです。

試験場では、隣の人が置換を始めたころに自分は積分の計算を終わらせて、圧倒的な時間差をつけてアドバンテージをつけましょう。

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

岡田

ラディカル高校数学管理人の岡田です。地方公立高校から一浪して東京大学理科一類に合格。現在工学部在学中。都内で塾講師として高校数学を教え、100人以上の生徒を見てきました。自分の経験を活かして高校数学をわかりやすく教える活動をしています!

-不定積分, 数学III, 積分法