不定積分 数学III 積分法

置換積分はなぜ置換するのか?置換するタイプ2種類

置換積分は数学IIIで学ぶ積分法の1つですが、コツが分かるまでどう計算するのか見えづらい方法でもあります。

置換積分のコツは、置換積分の2つのタイプを区別することです。闇雲に置換しても出来るようにはなりません。まずは、この2つのタイプから説明します。

[box04 title="置換積分の2つのタイプ"]

  1. x=g(t)
  2. g(x)=u

[/box04]

x=g(t)型の方が、置換積分の本質です。まずはこの型から説明します。

x=g(t)型が置換積分の本質

ある積分\displaystyle\int f(x)\,dxを計算したいとします。しかし、この積分が非常に難しいとします。

積分が難しいとは、積分の基本検討ステップのうち、ステップ3まででは解決しないということです。積分の基本検討ステップについては、次の記事を読んで下さい。

例えば、\displaystyle\int\frac{1}{x^2+1}\,dxは特殊基本関数でも部分積分でも解決できません。他の方法を考える必要があります。

その方法が、変数xを新たに他の変数で置換するというものです。xを置換すると、関数が別の形になり、積分が上手くいく場合があります。実際に、\displaystyle\int\frac{1}{x^2+1}\,dxの場合はx=\tan\thetaと置換すると計算できるようになります。

このように、難しい積分のxを他の関数g(t)で置き直すことで積分計算が可能になる。これが置換積分の本質です。

x=g(t)型では、次のパターンを覚えなければいけません。

[box04 title="置換しないと積分できない3つのパターン"]

  1. \sqrt{a^2-x^2}ではx=a\cos\thetaと置換
  2. \displaystyle\frac{1}{x^2+a^2}ではx=a\tan\thetaと置換
  3. ax+b=tと置換

[/box04]

これらの置換方法を、まとめてx=g(t)と言うことにします。xを他の関数g(t)に置き換えているのでこう呼びます。ax+b=tは、x=\dfrac{t-b}{a}と置換したと考えます。

置換積分の代表例がこの形です。実際に、定積分

\int_0^a\sqrt{a^2-x^2}\,dx

を考えてみます。ただし、a>0とします。

x=a\sin\thetaとおくと、dx=a\cos\theta d\theta

x0\to aのとき、\theta0\to\dfrac{\pi}{2}

また、a>0,\,\cos\theta\geqq 0より

\begin{aligned} \sqrt{a^2-x^2}&=\sqrt{a^2(1-\sin^2\theta)}\\ &=\sqrt{a^2\cos^2\theta}\\&=a\cos\theta \end{aligned}

よって

\begin{aligned} \int_0^a\sqrt{a^2-x^2}\,dx&=\int_0^{\frac{\pi}{2}}(a\cos\theta)a\cos\theta\,d\theta\\ &=a^2\int_0^{\frac{\pi}{2}}\cos^2\theta\,d\theta\\ &=a^2\int_0^{\frac{\pi}{2}}\frac{1+\cos2\theta}{2}\,d\theta\\ &=\frac{a^2}{2}\left\lbrack\theta+\frac{1}{2}\sin2\theta\right\rbrack_0^\frac{\pi}{2}\\ &=\frac{1}{4}\pi a^2 \end{aligned}

を得る。

上手くいきました。これが置換積分の代表例です。他にも、\displaystyle\frac{1}{x^2+a^2}の場合もx=a\tan\thetaと置かないと上手く行きません。

特に、

  • \sqrt{a^2-x^2}
  • \displaystyle\frac{1}{x^2+a^2}

置換しないと積分することができないので、この2つは必ず覚えて下さい。実際に、2019年の東大理系数学にも出題されています。それほど、しっかりと覚えておかなければいけない重要な解法なのです。

この3つのパターン以外にも、置換しなければいけない場合も確かにあります。しかし、実際に多くの答案を見ていると、置換しなくてもいいところで置換をし、計算コストが増えて時間を使ってしまっている例がほとんどです。

このx=g(t)型が置換積分の本質です。なぜなら、これは置換しなければ積分することが出来ないため、どうしても置換が必要だからです。

g(x)=u型の置換は形を必ず確認する

一方で、置換が必要ないのに置換積分という名前がついているものがあります。それが、この2番目の積分の型であるg(x)=uです。これはx=g(t)型と等号は同じなのですが、方向性が真逆です。

積分が\displaystyle\int f(g(x))g'(x)\,dxという形をしているとしましょう。このとき、g(x)=uと置換すると、g'(x)\,dx=duより

\int f(g(x))g'(x)\,dx = \int f(u)\,du

となります。g(x)=uと置換することで、左から右に積分が変形しています。

その結果、\displaystyle\int f(u)\,duの計算が変形前と比較して可能になっているのであれば、この置換には意味があります。これがg(x)=u型の置換積分です。

g(x)=u型の置換積分をするときには、鉄則があります。それは

\displaystyle\int f(g(x))g'(x)\,dxの形になっていることをよく確認する

ことです。

g(x)=u型の置換積分は、置換前が\displaystyle\int f(g(x))g'(x)\,dxの形になっているからこそ意味があります。もしこの形でなければ、g(x)=u型の置換をしても積分できるようにはなりません。

しばしば、\displaystyle\int f(g(x))g'(x)\,dxの形になっていないのにg(x)=u型の置換をして上手くいかないと悩んでいる人がいます。できないのは当然です。必ず、g(x)=u型の置換をするときには形が\displaystyle\int f(g(x))g'(x)\,dxになっていることを確認して下さい

g(x)=u型は置換せずに高速計算する

g(x)=u型の置換は、どうしても計算量が多くなりスピードがダウンしてしまいます。実は、g(x)=u型の置換は多くの場合、置換する必要がありません

積分の基本検証ステップ2では、必ず特殊基本関数かどうかを確認します。特殊基本関数は、まさにg(x)=u型の置換積分の一例だからです。

特殊基本関数は、

  • \displaystyle\int \frac{f'(x)}{f(x)}\,dx=\log |f(x)|+C
  • \displaystyle\int \{f(x)\}^\alpha f'(x)\,dx=\frac{1}{\alpha+1}\{f(x)\}^{\alpha+1}+C

の2種類でした。確かに、どちらも\displaystyle\int f(g(x))g'(x)\,dxの形になっています。特殊基本関数は、g(x)=u型の置換積分です

しかし、特殊基本関数はあまりに基本的なため、わざわざステップ4まで引っ張る必要がなく、見つけ次第すぐに計算してしまうほうが容易です。

また、特殊基本関数の例を見ても分かるように、特殊基本関数を積分するときはわざわざg(x)=uと置換したりしません。置き直すと、時間が大幅にかかってしまい無駄だからです。つまり、g(x)=u型の置換積分は置換しなくても出来るのです。

置換せずに置換積分が出来るようになると、積分のスピードが驚くほど上がります。積分の計算が遅い人のほとんどは、置換する必要がない積分を置換して無駄に時間を浪費しています。必ず、置換しなくても出来る方法を習得して下さい。

[box04 title="置換積分の置換パターン"]

置換積分(積分の検討ステップ4)まで到達したら、

  • \sqrt{a^2-x^2}
  • \displaystyle\frac{1}{x^2+a^2}

の2つの形をしていないかを確認する。このときは、x=g(t)で置換する。

次に、\displaystyle\int f(g(x))g'(x)\,dxの形をしていないかを確認する。もしこの形をしていたら、g(x)=uで置換する。

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岡田

ラディカル高校数学管理人の岡田です。地方公立高校から一浪して東京大学理科一類に合格。現在工学部在学中。都内で塾講師として高校数学を教え、100人以上の生徒を見てきました。自分の経験を活かして高校数学をわかりやすく教える活動をしています!

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