数学A 整数の性質 整数の性質の活用

整数問題のコツ!整数の性質を文字で置いて解法の手がかりを掴む

整数問題は奥が深く、その問題のバリエーションたるや限りがありません。

そのため、整数問題は難しいと感じてしまい、苦手意識を持っている人が多い単元です。

しかし、大学入試で出題される整数問題は、基本的な解法をしっかりと抑えておくことで攻略できることが多いのです。たとえ典型に当てはまらないような問題に見えても、基本を知らなければその先の応用を見つけることは出来ません。整数問題のコツは、まず典型的な手法をしっかりと理解することです。

整数問題でまず最初に覚えておかなければいけない典型的な手法は3つあります。

[box04 title="整数問題の基本解法"]

  1. 整数の性質と文字で置く方法
  2. 背理法の示し方
  3. 基本的な3種類の黄金解法

[/box04]

これを覚えずして、整数問題が出来るようにはなれません。まずは、この3つの手法を徹底的に理解して運用できるようになるところから始めましょう。

今回は、1つ目の整数の性質と文字で置く方法について解説します。

整数の性質と文字で置く方法

整数問題が難しい点は、自分で文字を置かなければいけない点にあります。

日頃の他の単元では、あまり自分でどしどし文字を置くということはないかもしれません。そのため、文字で置いて整数の要素を分析するという手法に不慣れなのです。整数問題のコツは、整数の性質について理解し、適切に文字で処理できるようになることです。

約数と倍数

最も基本的な整数の性質が、約数と倍数です。小学生のときにも学んだようなことですが、改めて理解しましょう。

2つの整数a,\,bがあり、abが割り切るとき、「abの倍数である」とか「baの約数である」と言います。式で書くと、kを整数として

a=kb

などと書けます。

a=kbという式を見たときに、abの倍数である」のと同時に、baの約数である」ことも同時に見えなければいけません。baの構成要素になっているイメージが重要です。

約数は有限個しかありません。そこで、約数をすべて列挙してみます。

ある自然数Nの正の約数を小さい方から順に並べたものを

a_1,\,a_2,\,a_3,\,\cdots,\,a_{n-1},\,a_n

とします。このとき、

  • a_1=1
  • a_n=N

であり、

a_1a_n=a_2a_{n-1}=a_3a_{n-2}=\cdots=N

が成り立ちます。両端から1つずつペアを作っていくと、ペアの積は必ず元の数と同じになります。つまり、一般に

a_ka_{n-k+1}=N\quad (k=1,2,\ldots,n)

が成立します。

平方数

Nが平方数((整数)^2の形で表される数)でなければ、a_n\neq a_{n-k+1}なのでNの約数の個数は偶数個であり、逆にNが平方数ならNの約数の個数は奇数個です。

ちなみに、平方数のときにはペアを組もうとすると真ん中の数がペアを組めなくなりますが、これは自分自身とペアを組んで

\sqrt{N}\cdot\sqrt{N}

というペアを作ると考えます。

平方数と約数の個数の関係は重要です。必ず覚えておく必要があります。

  • 平方数 \Longleftrightarrow 約数の個数が奇数個
  • 平方数でない \Longleftrightarrow 約数の個数が偶数個

最小公倍数と最大公約数

平方数の話はこれぐらいにして、約数と倍数の話に戻ります。

2つの自然数a,\,bに対し、

  • aの倍数でもありbの倍数でもある数をabの公倍数
  • aの約数でもありbの約数でもある数をabの公約数

と言います。

公倍数の中で最も小さい数を最小公倍数(Least Common Multiple, LCM)と言います。公倍数は、すべて最小公倍数の倍数になっています。よって、最小公倍数が分かれば、公倍数がすべて分かります。

公約数の中で最も大きい数を最大公約数(Greatest Common Divisor, GCD)と言います。公約数は、すべて最大公約数の約数になっています。よって、最大公約数が分かれば、公約数はすべて分かります。また、abの最大公約数が1のとき、ab互いに素であると言います。

公約数を文字で置く

整数の性質から文字で置く練習をしてみましょう。今回は、公約数という整数の性質を使ってみます。

問題

2つの自然数abの最大公約数と最小公倍数の積は、abの積に等しいことを示せ。

解答

abの最大公約数をgとおくと、

a=ga^\prime,\, b=gb^\prime\quada^\prime,\,b^\primeは互いに素である整数)

と置ける。このとき、abの最大公約数lは、互いに素なa^\primeb^\primeを両方含み、かつ共通のgを含まないといけないので、

l=ga^\prime b^\prime

と書ける。これより

gl=g(ga^\prime b^\prime)=(ga^\prime)(gb^\prime)=ab \quad\blacksquare

これが整数の性質(約数と倍数)を見出し、文字で置く手法です。文字で置く題材の中では、最も基本的です。

素数と合成数

素数

素数(prime number)とは、2以上の正の整数で、1と自分自身しか約数がない数のことです。約数が2個の正の整数ということも出来ます。よって、1は素数には含まれません。

素数を小さい順に書いてゆくと、

2,\,3,\,5,\,7,\,11,\,13,\,17,\,\ldots

と続いていきます。このうち、

  1. 2は唯一の偶数の素数
  2. それ以外はすべて奇数の素数

となっています。素数のほとんどは奇数ですが、1個だけ偶数の素数である2があります。問題文で3以上の素数」と出てきたら、それは「奇数」であることを使う可能性が高いです。

合成数

一方で、2つ以上の素数の積で表すことの出来る整数を合成数(Composite number)と言います。例えば、614は合成数です。

約数を因数(factor)ということがあり、特に素数の因数を素因数(prime factor)と言います。合成数を素因数の積に分解することを素因数分解と言います。

2以上の正の整数nは、素数p_1,\,p_2,\,p_3,\ldotsと正の整数k_1,\,k_2,\,k_3,\,\ldotsを用いて

n=p_1^{k_1}p_2^{k_2}p_3^{k_3}\cdots

の形に、ただ一通りに素因数分解できます。これを素因数分解の一意性と言います。

整数の性質を活かした文字の置き方

問題を解くときに、合成数がどのような素因数を持つのかを調べなければならないときがあります。そのときには、合成数が持っている素因数を文字で置いて、整数の性質を追求します。そのときには、次の4つの置き方が有効です。

[box04 title="整数の4つの置き方"]

  1. n=p_1^{k_1}p_2^{k_2}p_3^{k_3}\cdots\quadp_iは素数、k_iは正の整数)
  2. n=p^s\cdots\quadpは素数、sは正の整数)
  3. n=pA\quadpは素数、Aは整数)
  4. n=2^kl\quadk0以上の整数、lは奇数)

[/box04]

置き方の目的を説明します。

n=p_1^{k_1}p_2^{k_2}p_3^{k_3}\cdots\quadの置き方

は、標準形とも言います。最も原始的な形まで素因数分解をした形です。主に

約数の総和を求めるとき

に使うとよいでしょう。n=p_1^{k_1}p_2^{k_2}p_3^{k_3}\cdotsの形に素因数分解されているとき、Nの正の約数の個数は

(k_1+1)(k_2+1)(k_3+1)\cdots

と表されるからです。約数の個数や総和を求めたいときには、素因数分解した形を試すのが第一歩です。

n=p^s\cdots\quadの置き方

は、ほど大袈裟に素因数分解する必要がなく、特定の素因数のみに注目すればよいときに使います。素因数分解したときに、ある素因数ps個含まれていることを意識しています。この形は、主に

  • 背理法において両辺の素因数の個数を比較し、矛盾を導くとき
  • n乗数であることを示すとき

に使うとよいでしょう。特に、背理法では特定の素因数に着目することで最大限に活用できます。

n乗数とは、cを整数としてc^nの形で書かれる数ですが、これはcのすべての素因数pの指数がnであることを示せばよいでしょう。そのためには、ある素因数p_iの指数がnであることを示し、それがすべての素因数においても成立することを示せばよいのです。

n=pA\quadの置き方

では、nが素因数pを持つことに注目します。のように素因数の個数自体を議論したいわけではなく、「持つ」のか「持たないのか」だけを判断したいときに使います。これは

背理法において、2数が互いに素であることを示すために共通因数pを持つと仮定し、矛盾を導くとき

に使うとよいでしょう。ところで、このときには整数Aの中にも素因数pが含まれている可能性があることに注意してください。

n=2^kl\quadの置き方

最後にです。これはを組み合わせ、素因数2の個数のみに注目する方法です。素数には唯一の偶数2があり、それ以の素数はすべて奇数でした。よって、素因数のうち2のみを2^kという形で括りだせば、残りの整数lは必ず奇数になります。このようにして、合成数nを偶数と奇数の積に分解することが出来ます。

少し高度な置き方ですが、特に素因数2について注目したいときにはこの置き方を思い出してください。

まとめ

今回は、整数の性質と文字の置き方について解説しました。整数問題は、典型的な手法をしっかりと理解することで、大学入試に出題される問題には十分対応できるようになります。整数問題が苦手な人は、まずはこの基本的な手法が出来ていません。まずはここからスタートするように意識してください。

[box04 title="整数問題の基本解法"]

  1. 整数の性質と文字で置く方法
  2. 背理法の示し方
  3. 基本的な3種類の黄金解法

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岡田

ラディカル高校数学管理人の岡田です。地方公立高校から一浪して東京大学理科一類に合格。現在工学部在学中。都内で塾講師として高校数学を教え、100人以上の生徒を見てきました。自分の経験を活かして高校数学をわかりやすく教える活動をしています!

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