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数式から見えないカタマリを引きずり出して計算を楽にする方法

数式を見るときの大切な姿勢のひとつに、数式からカタマリを見つけるというものがあります。カタマリを見つければ、カタマリの部分を新たに置換することで式が単純になるからです。詳しくは以下の記事をご覧ください。

この問題のときには、式の形が

(x^2+2x)^2+4(x^2+2x)

だったので、x^2+2xがカタマリになっているとすぐに見抜けました。

見えないところからカタマリを引きずり出す

もちろん、いつもいつもカタマリがあるわけではありません。むしろカタマリがないことの方が多いでしょう。そのときには、諦めて他の方法を考えざるを得ません。

しかし、本来はカタマリがあるはずなのに、それが見抜けないせいで計算が大変になってしまったり問題の糸口が掴めなくなってしまうことがあります。

そこで、今回は一見見えづらいところからカタマリを見抜く方法について解説します。

見えにくいカタマリ初級編

最初は簡単な例から初級編として練習します。これらは式をじっと見つめてみれば気づくと思います。カタマリを見つけてください。

(1)~\dfrac{1}{x^2}-\dfrac{3}{x} (2)~9^{x}-3^{x+1} (3)~x-3\sqrt{x}

[/st-mybox]

解答

すべて、同じX^2-3Xの形になります。

(1)~X=\dfrac{1}{x}と置換します。これは易しい。

(2)~ X=3^x と置換します。

9^x=(3^2)^x=(3^x)^2

より、9^x=X^2と置換できます。

また、意外と気づかない人が多いのですが、

3^{x+1}=3\cdot 3^x

なので、3^{x+1}=3Xと置換できます。指数部を減らすことで他の数と合わせ、出てきた余計な部分は係数として残ります。指数部をいじることで目的の形に合わせる発想に気づかない人が少なくないので、注意してください。12のズレは係数で修正できます。

(3)~X=\sqrt{x}と置換します。

指数の拡張で累乗数も考えることが出来ます。日頃はxをわざわざ(\sqrt{x})^2と見たりはしないので、気づきにくいかもしれません。

数式の中で最小のカタマリに注目することがコツです。

見えにくいカタマリ中級編

初級編は、誰でも出来て当たり前です。差はこの中級編以降から生まれます。

中級編からは、カタマリを自分で新たに作り出すという技を身に着けましょう。見えないところからカタマリを作るのは、計算を容易にし、問題を解決するために非常に有効な技術です。

見えないところからカタマリを作るのは、実は誰でもやったことがあります。

こちらです。

\int_\alpha^\beta(x-\alpha)(x-\beta)\,dx=-\frac16(\beta-\alpha)^3

数学IIで出てくる\dfrac16公式と呼ばれる積分ですが(積分に数学IIもIIIもありませんが、一応)、これを計算するときには

\begin{aligned} &\phantom{=}\int_\alpha^\beta(x-\alpha)(x-\beta)\,dx\\&=\int_\alpha^\beta(x-\alpha)\{(x-\alpha)-(\beta-\alpha)\}\,dx\\ &=\int_\alpha^\beta\{(x-\alpha)^2-(\beta-\alpha)(x-\alpha)\}\,dx\\ &=\left[\frac13(x-\alpha)^3-(\beta-\alpha)\cdot\frac12(x-\alpha)^2\right]_\alpha^\beta\\ &=\frac13(\beta-\alpha)^3-\frac12(\beta-\alpha)^3\\ &=-\frac16(\beta-\alpha)^3 \end{aligned}

として求めました。詳しくは、次の記事をご覧ください。

このときに、

x-\beta=(x-\alpha)-(\beta-\alpha)

としてx-\betaからx-\alphaというカタマリを引きずり出しました。これがカタマリを作るという技です。「カタマリを引きずり出す」とも言います。

このように、ある特定のカタマリに形を合わせるように無理やり式を作り出せることがあります。特に、1次式などはある程度自由に変形できるので有効です。

この方法を見に付けておくと、\dfrac16公式だけでなく、\dfrac{1}{12}公式も導くことが出来ます。実際にやってみます。

\begin{aligned} &\phantom{=}\int_\alpha^\beta(x-\alpha)^2(x-\beta)\,dx\\ &=\int_\alpha^\beta(x-\alpha)^2\{(x-\alpha)-(\beta-\alpha)\}\,dx\\ &=\int_\alpha^\beta\{(x-\alpha)^3-(\beta-\alpha)(x-\alpha)^2\}\,dx\\ &=\left[\frac14(x-\alpha)^4-(\beta-\alpha)\cdot\frac13(x-\alpha)^3\right]_\alpha^\beta\\ &=\frac14(\beta-\alpha)^4-\frac13(\beta-\alpha)^4\\ &=-\frac{1}{12}(\beta-\alpha)^4 \end{aligned}

これが\dfrac{1}{12}公式と言われる定積分の有名な公式です。\dfrac16公式の証明と全く同じ手法なので、\dfrac16公式の導出が出来れば導出できます。

\dfrac16公式と異なる点は、\dfrac{1}{12}公式ではx-\betaからx-\alphaを引きずり出さなければならないという点です。x-\alphaからx-\betaを引きずり出そうとしても、2乗の中身が複雑になるだけであまり意味がないからです。

1次式を変形することでカタマリを出す技術は、\dfrac16公式と\dfrac{1}{12}公式に使うだけではありません。次の上級編で、他の積分にも使ってみましょう。

見えにくいカタマリ上級編

カタマリを作り出すことは、中級編でも見たように積分の計算では非常に有用です。そこで、\dfrac16公式だけでなく、他の積分でも使ってみましょう。

実は、この方法は次の記事で既に解説しています。ぜひお読みください。

今回は、上の記事では扱わなかった問題を使ってみましょう。

問題

\int\frac{1}{e^x+1}\,dx\tag*{①}

の積分は、多くの人はe^x+1=tなどと置換して置換積分をしようと試みます。もちろんそれでも解決しますが、実はその必要はありません。

まずの積分を考える前に、次のの積分を考えてみましょう。

\int\frac{e^x}{e^x+1}\,dx\tag*{②}

このような分数の積分のときには、特殊基本関数型ではないかと早い段階で疑うのがコツです。特殊基本関数については次の記事をお読みください。次の記事でも、の積分を扱っています。

上の記事で、の積分は、

\begin{aligned} \displaystyle \int\frac{e^x}{e^x+1}\,dx&=\int\frac{(e^x+1)^\prime}{e^x+1}\,dx\\ &= \log(e^x+1)+C \end{aligned}

として計算すれば、速やかに結果が求められると説明しました。

今回のの計算では、この形を使うことを目指してみましょう。

\int\frac{1}{e^x+1}\,dx\tag*{①}

の形を使うことを目指すので、の分子の1からe^xを作り出し、また積分が解決するような変形がないかを考えます。

しばらく考えてみてください。要点を改めて整理すると、

  1. 分子の1からe^xを作り出す
  2. 作り出した結果が積分しやすい形になっている

という2つがポイントです。

解答

\begin{aligned} \displaystyle \int\frac{1}{e^x+1}\,dx&=\int\frac{(e^x+1)-e^x}{e^x+1}\,dx\\ &=\int\left(1-\frac{e^x}{e^x+1}\right)\,dx\\ &=\int\left(1-\frac{(e^x+1)^\prime}{e^x+1}\right)\,dx\\ &=x-\log|e^x+1|+C \end{aligned}

正解は、

1=(e^x+1)-e^x

として1e^x+1e^xのカタマリに分解することでした。

この変形、単純ながらなかなか思いつかない人も多いのではないでしょうか。かくいう私も、これは自力では思いつかず、解答を見たときに感動した覚えがあります。これが出来ればかなりの上級者ではないでしょうか。

積分では、このように式からカタマリを引きずり出すことであっという間に解決してしまうことがあります。特に、置換積分ではこの方法が有用です。なぜなら、置換積分できるということは、置換するカタマリが作れるということに他ならないからです。

以下の記事では他の積分についてもカタマリを作る方法を載せているので、ぜひチャレンジしてみてください。

 

 

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岡田

ラディカル高校数学管理人の岡田です。地方公立高校から一浪して東京大学理科一類に合格。現在工学部在学中。都内で塾講師として高校数学を教え、100人以上の生徒を見てきました。自分の経験を活かして高校数学をわかりやすく教える活動をしています!

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