数学I 集合と命題

必要条件と十分条件の違いと実際の答案での使い方

高校数学の「集合と論理」で学ぶ必要条件と十分条件。名前がわかりにくい上にややこしいのですよね。

今回は、必要条件と十分条件の違いについて学びます。

必要条件と十分条件の定義

最初に用語の定義から確認します。

[box04 title="定義"]

2つの条件p,\,qについて、p\implies qが真のとき、

  • qpであるための必要条件である。
  • pqであるための十分条件である。

という。

[/box04]

ベン図で確認しよう

必要条件と十分条件の関係を理解するには、ベン図を利用するのが便利です。

そこで、条件pを満たすもの全体の集合をP、条件qを満たすもの全体の集合をQとして、実際に図に描いてみます。

まず、必要条件と十分条件を考える上では、p\implies qが真であることが前提となっていることが大切です。

p\implies qが真とはどういうことかというと、もしpならば100%の確率でqになるというとこです。つまり、集合Pの要素は必ずすべてQに含まれていないといけません。

したがって、ベン図に描くと、PがまるっとQに囲われている関係になります。こうすれば、Pの中に居れば必ずQの中にも含まれるので、p\implies qが真であることを表せています。

十分条件

最初に十分条件から考えていきます。なぜなら、十分条件の方が考えやすいからです。

コツは、自分が集合の要素になったつもりで考えることです。

qの要素になって欲しいと依頼されたと考えて下さい。依頼主は、誰でもいいです。つまり、ベン図のQの枠の中に入って欲しいと言われたとします。

このとき、あなたはQの枠の中に入らなければいけないのですが、もしQのさらに中にあるPの枠の中にまで入ったら、依頼主は何と言うでしょう。

Qの中に入って欲しいとお願いしただけなのに、Pの中にまで入ってくれるなんて、もう十分だよ!

と大満足してくれるに違いありません。そう、この「十分だよ!」という悲鳴が上がるときが、十分条件です。

条件qを満たしさえすればいいのに、さらにその中にある条件pを満たしてしまう。そうすると、今は必ずp\implies qが真に成り立つので、自動的にqも満たされることになります。\impliesのベルトコンベアーに乗って、pからqに運ばれるイメージでしょうか。これはもう、お願いを十分に聞いてくれている、ありがたいことです。

これを、pqであるための十分条件であるというわけです。

必要条件

次に、必要条件を考えます。十分条件がわかっていれば、必要条件は簡単です。

逆にpの要素になって欲しいと依頼されたと考えてみましょう。ベン図のPの枠の中に入ることが任務です。

Pの中に入るには、最低で少なくともQの枠の中に入っていることが必要です。Qの中に入っていなければ、そもそもどう頑張ってもPの枠の中に入ることは不可能です。これが必要条件の意味です。

ベン図を見れば分かるように、Qの中に入っているからと言って、Pの枠の中に入っているとは限りません。Pの枠とQの枠の間には隙間があるからです。p\implies qは真ですが、q\implies pは偽であることに注意して下さい。

条件pを満たすためには、少なくとも条件qを満たすことが必要。これが必要条件です。

必要条件の使い方と十分性の確認

必要条件と十分条件の意味はわかりましたでしょうか。

さて、意味が分かっても実際に問題を解くときに使えなければ意味がありません。必要条件と十分条件をどのように答案で使えばよいのか説明します。

ある問題を解いていて、答えを見つけたいとします。その答えの集合をPとします。

問題が複雑で、答えのPを求めることが難しいとしましょう。このとき、いきなりPに突撃しても難解でたどり着けない時があります。

そのようなときには、まず少なくとも答えはこの集合Qの中にしか無い!という必要条件を求めると良いでしょう。答えは集合Qとは言えないけれども、答えがあるなら少なくともQの中にしかありえない、と判明すれば、大幅に答えの範囲を絞ることができます。

答案では、よく

Pであるためには、Qが必要である。

と書きます。

さて、必要条件で絞ったところで仕事は終わりではありません。仕事はPを求めることなのですから。

しかし、答えの範囲がQにしっかりと絞れたならば、あとはQの要素のうちどれがPを満たすのかをすべて調べればいいのです。

Qのうちひとつを取り上げて、Pを満たすか調べてみます。満たせば、それは答えのひとつです。なぜなら、Qの中にしか答えは存在せず、それが答えの条件Pを満たしているので、文句なく答えになります。

また、同じように調べた結果、Pを満たさなくても、それは答えではないというだけなので、何の問題もありません。Qを全部調べても一個もPを満たさなければ、それは解なしというだけです。なぜなら、Qの外には絶対に答えになる候補が無いからです。

このように、必要条件を調べた後に、その中から十分条件を満たすものを探す工程のことを十分性の確認と言います。

答案では、よく

ここで、Pに対するQの十分性を確認する。

と書きます。これが正しく使いこなせれば相当の上級者です。ぜひ使ってみて下さい。

まとめ

以上が必要条件と十分条件の違いです。名前はややこしいですが、包含関係を理解すれば間違えることはありません。

また、実際の問題での使い方についても、必ず理解しておいて下さい。

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岡田

ラディカル高校数学管理人の岡田です。地方公立高校から一浪して東京大学理科一類に合格。現在工学部在学中。都内で塾講師として高校数学を教え、100人以上の生徒を見てきました。自分の経験を活かして高校数学をわかりやすく教える活動をしています!

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